2017-01-31
アルミの塗装について(アルマイト処理後電着塗装)
〜サッカーゴールやラグビーゴールの塗装に関する考察〜
今回は、アルミ塗装について、技術的なお話をしたいと思います。
当社のサッカーゴールやラグビーゴールは、アルマイト処理後電着塗装という表面処理を施しています。
塗装が剥がれたサッカーゴール
古くなったサッカーゴールの塗装が剥がれているのを見た事はありますか?
長年使っていると、塗装が剥がれて写真の様に見た目が悪くなります。
なぜこのようになるのでしょうか?
それは、塗装はアルミ素地に塗料をのっけているだけだからです。
この状態で、塗装に傷がつくと、アルミ素地にのっているだけの塗料は、どんどん剥がれていきます。また、アルミと塗料の膨張収縮率も違う為、長年屋外に放置して、寒さ暑さの膨張収縮を繰り返すと、いつか塗料が割れてしまいます。
顔に塗ったファンデーションが割れるみたいな感じですね。
アルマイト処理
では、塗装が剥がれない為にどうするのか?
まず、アルミ表面にアルマイト処理というものをします。アルミは酸素と結びつきやすく、空気に触れると酸化被膜を作ります。この酸化被膜のおかげで、腐食しにくいのですが、酸化被膜はとても薄く(1〜2nm程度、1mm=1000000nm)、環境によっては腐食してしまいます。アルマイト処理は、この酸化被膜を人工的に厚くて強固につくることができる電気化学的表面処理です。
アルマイト処理の方法は、アルミ製品を電解液の中に入れ、電気を流す事で、電気分解により表面に陽極酸化被膜をつくります。この時に、アルミ表面の微小な凹凸を侵食しながら酸化被膜が成長しますので、酸化被膜が上下に成長していく感じになります。この酸化被膜は上から見ると、六角形の鉛筆を束にして、芯を抜いて穴が開いたような状態になっています。一つの穴の大きさは10〜30μm程度です(1mm=1000μm)。
陽極酸化被膜がアルミに浸透しながら成長し、厚い被膜を形成すると共に無数の孔をつくります。
アルマイト処理後電着塗装
アルマイト処理が終わったアルミを染色するのが、アルマイト処理後電着塗装と呼ばれる方法になります。
アルマイト処理をして、無数の穴の開いた被膜の穴の部分に電気を使って染料を染み込ませます。鉛筆で考えれば、赤色なら赤い芯の色鉛筆が並んだ状態、青色なら青い芯の色鉛筆が並んだ状態になります。最後に染料を染み込ませた穴に蓋をして(封孔処理)完成です。
この状態の塗装では、表面に塗料を塗っているのではなく、無数に開いた穴の中に染料を染み込ませているので、簡単に塗装が剥がれるということはありません。長期間使っても塗装が剥がれにくく、綺麗な状態を保つことが可能です。
この技術はアルミ製品で多く使われています。身近な所では、スマートフォン用のアルミケース等です。
様々な色に着色でき、見た目も綺麗になります。
塗装とアルマイト処理後電着塗装を比べると以下の図になります。上に乗っているだけの塗装との違いがわかると思います。
ぜひ、サッカーゴールやラグビーゴールは、アルマイト処理後電着塗装を行ったアルミ製品をお選び下さい。